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頑丈な家は社会の宝  

2018年3月13日「火曜日」更新の日記

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 ヨーロッパの国はどこもそうだが、西ドイツも住宅政策には力を入れている。14.5世紀に宗教活動の一環としてヨーロッパ各地に建設された「ベギンホフ」という集合住宅は、僧院でありながら貧困者や一人暮らし老人のための住居でもあった。 西ドイツのアウダスプルクにある「フッガー屋敷」16世紀に当時の財閥であったフッガー家が救貧施設として建設したもので、世界最古の社会福祉施設といわれている。 第二次世界大峨で破壊されたものを、戦後、フッガー財団が復元した。 2階建ての連続住宅で、再建したあとも家賃は建設当時のままの2マルク(160円前後)である。 ここは現在、観光地のひとつにもなっている。  こういった伝統が今日までずっと続いている。 ヒットラーの時代も例外ではなく、むしろ彼は住宅政策に非常に力を入れた。 労働者のための住宅を多数建設し、そのことによって労働者の支持を得ていったのである。 これらの家は1930年代に建設されたものだが、きわめて頑丈で、家の構造がしっかりしているから内部を改造すれば十分に住める。  ドイツ人と日本人の気質は似ているといわれ、そのためかドイツ車の人気は日本でも高いが、住宅は全然似ていない。住宅についても日本はすこし見習ってはどうか。 住宅条件のよいイギリス人でさえ、ドイツの住宅事情のほうがよいと言う。  西ドイッといえば財産形成政策が有名だから、持ち家が多いと思われがちだが、突際は持ち家は住宅全体の36パーセント、借家が64ハーセントだ。 借家のうちの約3割(住宅全体の19.2パーセント)は「社会住宅」と呼ばれる公営住宅になっている。  西ドイツの単身者用社会住宅の純居住面積は40平方メートル以上、50平方メートル以下と定められているから、ここに示した44平方メートルの住宅はごく標準のものである。 同様に日本の民間アパートなどにはよ くある例だろう。 決して誇張してあるのではない。 こうして見比べてみると、私たち日本人、そして日本社会全体の住居に対する認識がいかに貧しいかがよくわかる。 老人にとってはノーマライゼーションが大切である。 老人ばかり集めるのではなく、他の年齢層の人たちとも接触できるようにすることが、老人を孤立化させず若若しい気分にさせる。 西ドイツの社会住宅では、1つの階にいろいろなタイプの住居を混ぜ合わせ、異世代が一緒に住めるように努力している。

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